お問い合わせ 事例紹介

天体観察に最適な場所を探していたら、八ヶ岳に行き着いた

天体写真がご趣味のK様。小学生の頃から自作の望遠鏡で夜空を眺めていました。セカンドハウスの目的のひとつは、もちろん天体観測。天体ドームの建設に適した場所を探し、最終的に行き着いたのが八ヶ岳でした。そんなK様ご夫妻に、八ヶ岳での暮らしの魅力や天体観測について、お話しを伺いました。

※凡例

お施主様への質問

  お施主様のお話

聞き手のコメント・感想・注釈


八ヶ岳に別荘を建てたきっかけについてお聞かせ下さい。

子供の頃から、天体写真が趣味なんです。以前からずっと、大きな望遠鏡を車に積んで、山に行って観測・撮影していました。車で行けるところはまだいいんだけど、重い機材を担いで登らなきゃいけない場所もあって、あるとき腰を痛めてしまったんです。それでもう、なかなか出掛けられなくなってしまったから、別荘を建ててそこにドーム型の観測所を置きたいと考えるようになりました。

天体観測に適した土地には、いろいろな条件があると言います。全国いろいろな場所を探してみましたが、なかなか良い土地が見つかりませんでした

空が開けている、辺りが暗い、標高が高く空気が澄んでいるなど、天体写真を撮るための必須条件がいくつかあります。でも、日本の別荘地で標高が高くて開けている土地というのはなかなか珍しい。別荘と言ったら、木がいっぱいあってうっそうとした雰囲気を求めるじゃない? 不動産家さんに希望を伝えても、ピンと来ない様子で土地探しがなかなか進みませんでした。

ある日インターネットで土地探しをしていると、オルケアのWEBサイト(ホームページ)を発見しました。ブログを見ているうちに、なんとなくこの会社はこちらの希望を理解してくれそうだと感じたそうです。

オルケアに問い合わせをしてみると、伊藤さんが色々と調べて、土地を探してくれたんですよ。それが、この場所。多分、同じようなニーズに対応した経験があったんじゃないかな。「天体観測」というこちらの目的と、そのために必要な条件をちゃんと理解して提案してくれた。それで、オルケアさんに決めたんです。

土地を探し始めてから約3年、理想の場所を手に入れました。天体観測はもちろん、1年を通して八ヶ岳での暮らしを楽しんでいます。

お住まいについて、工夫した点や気に入っている部分を教えてください。

大まかな希望をお伝えして、細かい部分はオルケアさんがしっかりと良い提案をしてくれました。まず、キッチンはね、広くて皆が一緒に調理できるような場所にしたかった。

ご家族全員が、大の料理好きだというK様。そのため3人くらいは一緒にキッチンに立てるような大きさ・配置にしたそうです。リビングの薪ストーブは調理器具としても活躍します。上で煮込み料理をして、下ではチキンを丸ごとグリルしたり。ピザも焼けます。

ご主人:蕎麦打ちもやってみたくて。蕎麦が打てる大きさにしてもらいました。でも、蕎麦粉が舞って掃除が大変でね。蕎麦打ちだけは一度しかやりませんでした。

間取りの取り方や空間のレイアウトにも、お考えがありました。

奥様:家の中のどこからでも声がかけられるようにしたかったので、なるべく空間を仕切らないようにしました。リビングも吹き抜けにして。家の中がひとつの空間に感じられるような。東京でそんな間取りは難しいから、こっちでは実現したくて。

ついつい欲張りになりがちな別荘建築。しかしオルケアからの適切な提案があって良かったとお二人は話して下さいました。

最初はね、隣の区画も一緒に買う計画だったんです。家も、今より大きなものを考えていました。でもね、諸角さんの提案は「小さく建てて、大きく暮らす」。別荘なんだし、そんなに大きな家が必要ですかって。歳を取ると、掃除や管理も大変ですよって。何部屋もあったって、それぞれ部屋に籠もって過ごすのも面白くないし。それなら間取りを大きくした方が良いですよね。住んでみて、正解だったなと納得しました。

標高が高い分、住宅性能も重要です。

ここは1,250メートルあるから、冬はマイナス20°Cまで冷え込むこともあります。オルケアさんの建築は高気密・高断熱で、最高の住宅性能、その点は安心してお任せできました。外がマイナス20°Cでも、中は常に17°Cに保たれる。真冬でも、床暖房だけで生活できます。なので最初は薪ストーブも置いてなかったんです。

薪ストーブを入れたのには、「災害対策」という意味合いもあったそうです。

この辺りは停電が多くて、冬に暖房が使えなくなったら大変です。それで後から、薪ストーブを入れることにしたんです。料理に使う他、どうしても寒い時に薪ストーブに火を入れます。そうするとすぐに暖まって上の寝室は30°Cになっちゃう。それで逆に、真冬なのに窓を開けたりね。そのくらい家の気密・断熱性能が高いということですね。

八ヶ岳南麓の魅力はなんでしょうか? 

奥様:なんといっても野菜が美味しいですね。こちらで採れた野菜。普通の夏野菜、トマトやきゅうりなんかも、「あ、この野菜って本当はこういう味だったんだ」と感じてしまうほどですね。
ご主人:内陸の県だから、美味しい魚がないって考えていたけど、ぜんぜんそんなこともないですね。北陸だったりあちこちから、新鮮な魚が入ってくるみたいで。買い物も、外食も、なんら不便はないですし、こちらのほうが暮らしやすい部分もあります。

愛犬家のご夫妻。ハナちゃんはちょっと甘えん坊の女の子です。

奥様:犬の散歩にも困らないです。東京だと、車や自転車が気になったり、わざわざ公園まで車で行って散歩させたりですけれど、このあたりはそういう煩わしさもないですし。散歩ついでにちょっと歩いて登れる山もたくさんあるので、ハナ(ワンちゃん)にとっても最高の環境ですね。

八ヶ岳の暮らしの中で、楽しみにしていることを教えてください。

ご主人の場合は、もちろん天体観測です。1年を通じて、毎月のように別荘を訪れます。

本当は、場所は問わないんですけどね。インターネットにつながっているので、どこからでも遠隔操作ができる。だからここにいる必要はないんですが。ついつい様子を見に、しょっちゅう来ちゃいますね。

こうした天文ドームでも、実際に天体を撮影できるチャンスは限られているのだとか。

1ヶ月の中で、天体撮影ができるチャンスというのは新月の日を中心に前後1週間弱です。しかも晴れていないとダメですから、一枚の写真を撮るのに数日以上、月を跨ぐこともあります。

撮象用のカメラとは別に、天体の位置を常に捕捉するカメラが設置されています。そのため、遠隔地からの操作で長い時間をかけて観測・撮影することができます。

設備のメンテナンスだったり、天気も気になるから、こっちに来ていた方が当然楽しめますね。

元々、顕微鏡や検査機、分析器や解析機の開発をされていたご主人。ハードもソフトも全部自分で作ってしまいます。天文ドームを使った天体観測・撮影のプロセスの全てが、ご主人の何よりの楽しみなのです。一枚の写真を見せて頂きました。

これは、「馬頭星雲」です。かなり時間をかけて撮影しました。天体写真の色っていうのは、撮影者が着けるんです。カメラが捉えるのは光の情報(明暗)だけですから。もし人間の目に見えていたら、こんな風に見えるんじゃないかなというのを、想像しながら着色するんです。そうした過程に、作品性と面白さがあります。

ご主人は、天体観測をする人の間ではちょっとした有名人です。撮影した天体写真が、科学雑誌に掲載されることも。

腕試しだと思ってね、写真を雑誌に投稿すると、科学雑誌の方から「掲載させて欲しい」という連絡が入ることもあります。

趣味を極めるご主人のお話しを、奥様はただただ嬉しそうな表情で聞いていらっしゃいました。普通なら、いや一般的には、小言のひとつも出てきそうな場面です。そこで敢えて聞いてみました。「奥様は、ご主人の趣味について何かお考えのところはありませんか?」。

私には、天体のことは正直ぜんぜん分からないんです。でも、楽しそうに一生懸命やっているでしょう。一度も嫌な思いをしたことはないし、主人の裁量で、ちゃんとやってくれているのがわかりますから。それに、天体観測のお友達や関係者が主人と話すのを聞いていれば、彼がいかに評価されているかも分かるんです。だから、頑張って楽しんでもらえれば、特別言いたいこともないんですよ。

一方の奥様も、八ヶ岳での生活を十二分に楽しんでいます。

お庭は私が全部考えて、花を植えたり、木を植えてもらったり。実が成ったら、それをジャムにします。

お庭に植えたジューンベリー、ブルーベリー、カシスの木。その実を使って作ったジャムを、御馳走になりました。採れたての実で作ったジャムは、甘すぎず程よい酸味、新鮮な素材が伝わるとても素敵な味でした。夏の日の朝、焼き立てのトーストに塗って食べるそうです。

このあたりは獣害も多くて、普通ならこういう実は鹿が食べちゃうんです。みなさん色々と苦慮されている。ところが我が家には、全く獣害がないんです。どうしてかなと考えてみたら、どうやら野生の動物は天文ドームが発する機械音が苦手みたいなんですよね。おかげで、妻の植える木々も実も、まったく無事なんです。

獣害対策に天文ドームが有効だとは、初耳でした。

奥様:ドームのおかげで、毎朝新鮮なベリーやカシスが食べられるんですよ。

奥様の言葉には、少し悪戯っぽい印象がありましたが、ネガティブな含みは一切ありませんでした。

八ヶ岳で暮らし始めて、困ったこと、予期しなかったことなどはありますか?

ご主人:まずひとつは、ゴミの問題です。ここの別荘地は、週に一回しかゴミを回収してくれないんです。それも、燃えるゴミ、燃えないゴミと、缶・ビン・プラスチックだけ。段ボールとか乾電池は出せない。
奥様:一週間、こっちに居られればいいですけれど、2〜3日の滞在だとゴミを持ち帰らなきゃならないでしょう。帰りの車がゴミ臭くて、せっかく別荘で過ごしたのに帰りがそれだとちょっと残念ですよね。みなさん、そうした経験があるみたい。改善されるといいんですが。

別荘地に家を建てた方々から、ゴミの問題はよく伺う話です。同じ地域に暮らす人々にとって、公平な行政サービスを期待したいものです。

ご主人:あとは、病院が少ないことも気になるかな。耳鼻科や眼科がないですし、総合病院も他の病院から医者が来てるから、曜日によってはその科の診察が受けられなかったり、不便はあります。以前、妻が庭で作業をしている最中に、転倒したことがあったんです。近くの病院に行って、処置をしてもらって、ギブスをはめてしばらく生活していたんですが…。
奥様:1週間か2週間か、何度か診察と処置を受けているうちに、別の病院へ行ってくださいと言われたんです。もしかしたら手術が必要になるかもしれないということで。お世話になっていた地域の病院には設備がなかったそうなんです。幸い、大きな怪我ではなかったですけれど、ちょっと不安な思いをしました。
ご主人:まぁ車で20分も走れば、もう少し医療環境の整った近隣の街に行けますから、いま考えると些細なことなんです。でも当時はちょっと心配になったのを覚えています。こういう小さな不便に困惑することは、多少はあるかもしれません。

実際の暮らしに基づいた、貴重なお話でした。

これから八ヶ岳に家を建てようと計画している方に対し、何かアドバイスはありますか?

ご主人:別荘って、つい欲張りになってしまって、どーんと大きなうちを作りたいという気分になりがちなんですけど。やっぱり自分の目の届く範囲というか、マネージできる範囲で考えることが大事だと思います。家も庭も、広すぎたら管理しきれないから。諸角さんの受け売りだけどね、「小さく建てて大きく暮らす」ということに尽きるよね。

「小さく建てて大きく暮らす」は、オルケア代表諸角が長年大事にしてきた言葉(口グセ?)です。

奥様:ご自宅を、いかに居心地の良い場所を作るかが大事だと思います。心からのんびりできるような、自分たちが本当に好きな場所にすること。こちらに来るまでが大変だったり、来てから大変だったりすると、足が遠のいてしまいますよね。寒くなる前に水抜きが必要だったり、メンテナンスに手間ばかりかかるようだと、「やらなければいけないこと」の方が気になってしまいます。
奥様:あとは趣味とか、こちらに来て楽しめるなにかがあると良いと思います。私は、お庭の手入れをしたり、ジャムを作ったり。広々とした場所で犬と散歩したり、のんびりと過ごすことが何よりも楽しみなんです。主人はもちろん、天体観測に夢中です。それぞれが楽しみながら、「料理」という共通の趣味もあります。「八ヶ岳の別荘でしかできない、楽しみなこと」がたくさんあるから、また行きたい、早く行きたいという気持ちになりますよね。そういう「楽しみ」と実際の「暮らし」を具体的にイメージしておくと、家を建てるときも建てたあとも、存分に楽しめると思います。

お二人とも八ヶ岳での生活を心から楽しんでいるのことが、とてもよく分かるお話でした。お互いの趣味を尊重し共通の趣味も大事にする。天体ドームのインパクトよりも、ご夫婦の仲の良さと絶妙のバランスが印象的なインタビューとなりました。

※当インタビューは2019年8月に行われました。文章・写真は全てお施主様のご承諾を頂いた上で掲載させて頂いています。