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八ヶ岳で求められる住宅性能 ー躯体内の通気ー

暮らしにおいて重要な住宅性能解説シリーズ第3弾。
今回は「躯体内の通気」についてです。

躯体(くたい)とは構造体のことで、壁や屋根、基礎の土台などのことを指します。
躯体内の通気の重要性は結露に関係しています。

本記事ではオルケアが大事にしている躯体内の通気について詳しく解説していきます!



この記事を読んでわかること

  • 躯体内結露の危険性
  • 躯体内通気の重要性
  • オルケア建築の躯体内の通気について


– 目次 –

  1. 結露が発生するメカニズム
  2. 気候・断熱と結露の関係
  3. 躯体内結露の危険性
  4. オルケアの躯体内通気の工夫
  5. まとめ




■結露が発生するメカニズム

冒頭で書いた通り、躯体内の通気の重要性は結露に関係しています。
なのでまずは結露について説明していきます。

「結露」とは、暖かく湿った空気が冷やされることで、空気中の水蒸気が水滴になる現象です。
そのままにしておくとカビやダニの発生の原因となったり、部材を腐らせてしまったりと、結露はいわば家の天敵です。

結露と聞くと、冬場、水滴でびっしょり濡れた窓ガラスを思い浮かべる人も多いと思います。 結露の代表例ですね。

結露のイメージ

断熱性の低い窓ガラスは冬の寒い外気温が伝わりやすいので、窓ガラスの温度は低くなります。
そうすると、室内の暖かく湿った空気が冷たい窓ガラスに触れて冷やされ、水蒸気が水滴となり結露が発生してしまうのです。

このように、結露は温度空気中の水蒸気が関係して発生します。
この点について、もう少し詳しく見ていきましょう。

[用語説明]

飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)

飽和水蒸気量とは、1m³の空気中に含むことができる最大の水蒸気量のことです。

飽和水蒸気量の図

空気中に含むことができる水蒸気の量は温度によって異なり、温度が高いほど水蒸気を多く含むことができます。

例として、気温と飽和水蒸気量の関係を表す表をご覧ください。

10°Cの時は最大で9.39g/m³の水蒸気を含むことができ、0°Cでは4.85g/m³となります。


相対湿度

天気予報で「今日の湿度は○%です」と耳にしますが、これは相対湿度と呼ばれるものです。
相対湿度は、飽和水蒸気量に対して実際に存在している水蒸気(絶対湿度)の割合のことで、
例えば、気温10°Cで水蒸気量が7.512g/m³のとき、湿度は80%となります。

7.512g/m³(絶対湿度) ÷ 9.39g/m³(10°Cの飽和水蒸気量) = 80%(相対湿度)

この状態で気温が0°Cまで冷やされたとします。
0°Cのときの飽和水蒸気量は4.85g/m³ですから、実在する7.512g/m³の水蒸気量を空気が含みきれなくなり、
差し引き2.662g/m³分の水蒸気が水滴に変わります。
これが結露発生のメカニズムです。

少し難しいところもあったと思いますが、
要は、結露は、暖かく湿った空気が冷やされて空気中の水蒸気が水滴になる現象で、
温度差があると結露が発生しやすいということです。


■気候・断熱と結露の関係

1つ目の記事で八ヶ岳は札幌より寒いと書きましたが、最高気温は札幌よりも高いことが多く、
札幌よりも最高気温と最低気温の温度差が大きいです。

▼平均最高気温と平均最低気温の温度差の比較(2021年)

[参照] 気象庁 過去の天気データ-2021年[札幌]   清里の森 天候記録-2021年通年

こちらのグラフの通り、2021年は札幌よりも温度差が大きい月が7ヶ月もありました。
八ヶ岳は1日の温度差が激しく、その差が20度を超えることもめずらしくありません。
温度差が激しいと結露が発生しやすいので、
八ヶ岳は結露が発生しやすい地域ということになります。
特に、気温が一番冷え込む早朝と日が沈んで気温が下がる夕方は結露が起きやすくなります。

以前、八ヶ岳のある家で、結露事故と言えるほどの大量の結露発生を見たことがあります。
その住宅は結露対策が万全ではなく、結露がまるで雨漏りのように天井からしたたり、床が水浸しになっていました。
結露が発生しにくい地域にお住まいの方にとってはにわかに信じがたい、嘘のような本当の話です。

このように、結露は家にとってあなどれない怖い現象であり、八ヶ岳で家を建てる際には注視すべきポイントなのです。

また、オルケアでは断熱性能の高い家づくりを行っていますが、
断熱性能が高いということは、室内と外の気温差が大きくなるということでもあります。
冷たい外気を室内に入れないようにするという点で断熱性能が高いことは良いことですが、結露の観点から考えると課題となります。
前述したとおり温度差があると結露が発生しやすくなるので、
断熱性能の高い家をつくるときは、結露対策をよく考える必要があります。

■躯体内結露の危険性

結露の中でも特に注意しなければいけないのが、躯体内の結露です。
窓ガラスの水滴など目につく結露は拭き取ることができますが、躯体内ではそうはいきません。
壁や柱の中、屋根裏などに結露が発生しても気付くのが難しく発見が遅れてしまい、
気付いた時には大きな被害を受けていたということもあります。

結露によって木材部分は木材腐朽菌(ふきゅうきん)という菌が増殖し、木材を腐らせてしまいます。
木材が腐ると強度が落ちて建物が弱くなってしまいますが、それ以上に危険な問題はシロアリです。
テレビでシロアリ被害にあった家の特集などを見た事がある方もいると思いますが、
シロアリは湿った木材を食べて、中身をスカスカにしてしまいます。
シロアリによってボロボロになった木材は更に強度が下がり、建物が倒れるかもしれない危険な状況になってしまいます。

また、結露対策を怠っている家では躯体内の結露によってカビが発生してしまいます。
八ヶ岳の中古の別荘などでも家の中に入った瞬間「なんかカビ臭いな」と感じるところがあるのは躯体内の結露が主な原因です。
カビの胞子を吸い込んでしまうとアレルギー症状が出たりシックハウス症候群の原因になったりします。
そしてカビ自体も人体にとって悪影響ですが、そのカビを食べるダニが発生して更に健康が脅かされたりなど、悪影響は連鎖していってしまいます。

■オルケアの躯体内通気の工夫

躯体内の結露は建物やそこで暮らす人々にとって様々な悪影響を及ぼします。
その結露を防止する為には通気性が大事です。
湿気が躯体内にこもらないように空気の通り道を作って通気性を上げることで、結露が発生しづらい環境を作ることができます。

結露対策としてオルケアが行っている通気の工夫は主に3つあります。

まず1つ目は、屋根の形状です。
屋根には様々な形状があり、種類によってメリットデメリットがあります。
オルケアが建てる家は、切妻屋根片流れ屋根が多いです。

きりづまやね かたながれやね

切妻屋根や片流れ屋根を多く採用している理由、それは通気性にあります。
切妻や片流れ屋根は換気口面積を大きく取ることが出来るため、通気性が良いというメリットがあります。

反対に寄棟の屋根は通気性があまり良くありません。
寄棟は棟が短いので空気の出口が狭く、換気不良が起こりやすい造りになっています。

よせむねやね

実際にオルケアが建てた家はこちらをご覧ください。

2つ目は、垂木です。
垂木(たるき)とは、屋根を支えるための骨組みの一部で、屋根の斜面を支える構造体です。
オルケアはこの垂木に穴を空けて空気が流れるようにし、湿気で蒸れないようにしています。

こういった軒先部分の通気までしっかり取っている住宅はほとんど無いのですが、
オルケアでは徹底した通気工法をとるべく、このような工夫を施しています。

3つ目は、壁内の胴縁です。
胴縁(どうぶち)とは、梁や柱と外壁の間に挟む壁の下地材のことで、壁を支える為の部材です。

オルケアでは、壁の中もしっかり通気を取るために特殊な胴縁を使っています。
エアホール胴縁というもので、胴縁に半円状の窪みがいくつもある部材です。

これにより空気の通り道ができ、壁内に湿気があっても風が通って水蒸気を外へ排出することができます。

このように、工法や扱う部材にこだわり躯体内に結露が発生しないような方法を採っています。

■まとめ

  • 躯体内の結露は建物やそこで暮らす人々にとって様々な悪影響がある
  • 八ヶ岳で断熱性の高い家こそ躯体内の通気が大事
  • オルケアでは徹底した通気工法をとっている

躯体内の結露対策がいかに重要かお分かりいただけたでしょうか?
壁や屋根の中は外からは見えず普段の生活の中で気にすることはほとんど無いと思います。
しかし実は、毎日自然現象と戦っている厳しい場所なのです。
家とそこでの暮らしを守るためにもこういった知識を事前に頭に入れておきましょう。

次回の記事は、寒冷地で特有の「水抜き」について解説します。

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