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どんな高級ホテルよりも居心地の良い場所だよ

定年退職後、二人で過ごす家を考え始めていたYさんご夫婦。八ヶ岳との出会いが、ここに「終の住処」を建てようという気にさせました。現在は名古屋との2拠点生活を送っていますが、将来は八ヶ岳に移住するご計画です。土地探しから家づくりまで、オルケアと共に重ねた検討の経緯や、現在の八ヶ岳での暮らしについてお話を伺いました。

※凡例

お施主様への質問

  お施主様のお話

聞き手のコメント・感想・注釈


八ヶ岳への移住を決めた「きっかけ」についてお聞かせ下さい。

当時はまだ定年の時期まで年数があったけれど、老後はどこかに移住して、夫婦二人でゆっくり過ごしたいという考えがあった。最初のきっかけは、雑誌で見た八ヶ岳のオーベルージュに泊まった時のことでした。

オーベルージュとは、小規模な宿泊施設を備えたレストランです。

オーナーシェフと話をしているうちにね、八ヶ岳の良さをいろいろと聞いたんです。日本でも屈指の日照時間の長さや、軽井沢よりも湿度が低く住みやすいという話。自然も豊かで過ごしやすいと。聞いているうちに段々とその気になってきてね。家を建てるならどこに頼むのが良いかと聞いたら、そのオーナーが「この辺で家を建てるなら、オルケアという会社が良い」と紹介してくれた。

連絡を受けたオルケアの伊藤がその翌日、ホテルに迎えにきました。

翌日の朝には伊藤さんがホテルに来てくれてね。早かった。車で4〜5件、土地を案内してくれてね。この場所が一番気に入った。そこで、即決。2008年か2009年頃かな。夫婦二人で老後を過ごす「終の住処」にしようって。あと数年働いたらこっちに移住して「悠々自適・晴耕雨読の生活をしような」と、妻と話して建築を決めました。

この土地を選んだ経緯について、お話を聞きました。

いかにも別荘という、少し奥深い森の中の土地ってあるじゃない。自然に囲まれたそういう場所も良いんだけど、我々の場合は「別荘」じゃなくて「終の住処」だからね。ある程度街中で、コンビニとか買い物にも徒歩で行けるような場所が良かった。そういう基準に加えて、この辺りは10年前からほとんど変わっていなくて、自然も十分に残っている。この土地については大満足だよ。

日本家屋の正面玄関側は、RC造の壁が印象的。

オルケアに決めた理由と、建築を進めていく経緯について教えてください。

まず縁があって、諸角さんや伊藤さんと話をして、良い会社だと直感したので決めたんだから、他のところなんて考えなかったよ。「浮利を追わず」という。

他社と比較することで、もし小さな「得」があったとしても、それは本質的な「利」ではないと、聞き手は理解しました。

今でも残っているけど、「こういう家にしたい」というコンセプトを私が考えてね。それを、諸角さんに依頼した。こういう日本建築にしたいという全体的な方針から、細かい部分に至るまで全て。オルケアさんは、ひとつひとつ実直に応えてくれた。

奥様からは次のようなお話を頂きました。

奥様:知人の話でね、カフェを建てることになったのだけれど、ご本人の希望とかやりたいことがいっぱいあるでしょう? いろいろな要望を、契約した建築事務所に伝えるけれども、「それは難しい、こうした方が良い」という返答ばかりで、なかなか本意が伝わらないと嘆いていました。技術的に難しいとしても、何か工夫をして「こうしたらどうですか?」という提案を期待していたんだと思うんです。やりとりがなかなか前進しないまま、納期が遅れて開業も先延ばしになってしまってね。そういうお話を聞くと、オルケアさんは本当によく話を聞いて下さって、私たちの要望をかなえてくれたと思います。

あらゆる工夫をして、その要望を叶えるように努力する。それが設計士や建築事務所の役割であり、そういう姿勢が大事なのだとお二人は話します。

要望を理解しようとしてくれないと。施主は建築については素人だから、技術的な話や専門的な回答ばかりだと、あれこれ理屈を並べられているだけだと感じてしまうこともある。私たち施主は技術的な問題そのものにこだわりがあるわけではなく、暮らし・生活に直面する部分について話をしている。要望の本質を分かってもらえないと、建築は前に進まない。逆に、例えばその壁の中がどういう構造になっているのか、約束した資材が本当に入っているのかなんて、私たちには中を見ないと分からない。つまり、施主の意図に依らず、建築事務所の都合によってどうにでもなってしまう側面もあるんです。だからこそ、建築事務所には理念が必要なんだと思います。会社の理念が仕事の質を高める。建築会社であれば、良い建築を創ることに繋がる。施主の話を理解し、工夫して応えようという姿勢にもつながります。オルケアさんにはそうした理念があると感じた。

もうひとつ、オルケアに決めて頂いた理由がありました。

ご主人:家は建てたら終わりじゃない。我々はそこでずっと暮らすわけだから、建築事務所にはその暮らしをずっと見守ってくれる存在であって欲しい。オルケアさんが本気でそういう取り組みをしてくれているところも、評価しています。

奥様があるエピソードを紹介してくれました。

奥様:うちの長女がね、出産間近だというのにここに遊びに来たんです。そうしたらある晩、急に産気づいてしまったの。その頃はまだ、どこに病院があるのかも分からなくて、真っ先に電話したのがオルケアの伊藤さん。

伊藤が近くの病院を紹介し、無事に出産となりました。奥様は続けてくれました。

奥様:伊藤さんのおうち、このすぐ近くなんですよ。実はそれが、この場所に決めた理由の一つでもあるんです。お家を建てて頂いてからずっと、困ったことがあったらいつもオルケアさんにご相談させて頂いて、オルケア(ALLCARE)というお名前の通り、私たちの生活をちゃんとケアして下さっています。

ご主人が、そのお話を遮ります。

ご主人:おいちょっと。そういう話をあんまりしちゃったら、伊藤さん家の周りにたくさん人が来て開拓されちゃうから。そのくらいにしておこうよ。

こんなお話を頂けるのは、オルケアにとって大変ありがたいことです。

現在のお住まいについて、気に入っている部分を教えてください。

場所については、とにかく正解だった。木々に囲まれた敷地と、程よい街中にあって。10年前と比べると、温暖化で1〜2°C気温が上がったといわれているけど、それでも(現在のご自宅のある)名古屋の酷暑に比べたらここは別天地だと思うよ。
もともと、別荘には興味がなかったから、別荘を買うよりも旅行で色々なところへ行った方がいいと考えていて。旅行先では特別な生活を味わえるし、それが楽しみだからね。でも所詮は借り物の家だから、こころから寛げないところもある。ここも建てたばかりの頃は、同じような感覚があったけれども、今ではどんな高級ホテルやリゾートよりも贅沢で心から寛げる場所だよ。名古屋の自宅と同じような、ゆっくりと過ごせる家になりました。

お二人の将来の生活を見据えて計画した日本建築。細部にまで知恵を絞りました。

ここは終の住処だからね。基本的には夫婦二人の生活なので、バリアフリーにして、こじんまりとした家にしたかった。居間と、小上がりと、寝室。キッチンや水回りがあって、あとは庭。シンプルで使い勝手の良い家にしたくて、それが希望通りの家になったので、気に入っているどころか全面的に満足しています。

「終の住処」として、必要十分な機能に絞った家。その中に、お二人のこだわりがたくさん詰め込まれています。

リビングから小上がり・玄関側を眺める。

南側にはデッキを作りゆっくり庭を眺められる場所にしたかった。一番多くの時間を過ごすのは居間だから、ここに気持ち良く風が抜けるように、北側も開けて小さな庭を作りました。北からの風が入ると、夏場でもうんと涼しくなるからね。天気の良い日は、デッキが食卓になります。

南側のお庭から縁側とリビング。奥に北側のお庭が見える。

北側のお庭から。

お庭は全て、奥様の手作りです。

南側のお庭に作った坪庭。

奥様:最初、ご紹介頂いた庭師さんに少しやってもらったのだけど、どうしても自分でやりたくて、最初から全部作り直しました。ツツジが好きなので、花が咲く5月頃には真っ白になるように。ツツジが風で痛まないように周りに松を植えたりね。

広いお庭の奥に置かれたバーベキューセットも奥様の自作とのこと。家を建ててから約10年。奥様のお庭作りは最近ようやく一段落したそうです。

八ヶ岳で暮らし始めて、困ったこと、予期しなかったことなどはありますか?

この質問をすると、お二人とも黙り込んでしまいました。

うーん。ないなぁ。人間って、不満を感じていればあれこれ出てくるものだけど、満足しているものに対して「ここが満足だ」という言葉はなかなか出てこないものだね。

奥様も同感のご様子です。

奥様:強いて言うなら、10年前に比べて少し気温が上がったくらいでしょうか。でもそれは、ここだけじゃないですしね。
ご主人:今になってみると、孫が来たときにちょっと狭いと感じることはあります。もう一部屋か二部屋、作っておいても良かったかなと。でもそれは些末なことで、そもそものコンセプトは我々の「終の住処」だからね。そのための住居としては困ったことはひとつもないです。

これから八ヶ岳に家を建てようと計画している方へ、何かアドバイスはありますか?

この辺で建てるなら、オルケアさんに頼むと良いよ。オルケアさんのインタビューだから、そう言わないと始まらないけどね、我々は本当にそう思っている。そして、どんな建築を建てたいか、設計士や事務所にしっかりと伝えることが重要。この辺でなければ、理念を持った建築会社を選ぶことが大事かな。何度も繰り返しになるけれど。

また一つ、エピソードをご紹介頂きました。

この辺は日照時間が長いから、北杜市が太陽光パネルの設置を優遇してね。そこら中にソーラーパネルが建設されてしまった。太陽光発電そのものはエコかもしれないけど、そのせいでこの辺の気温が上がってしまうし、何より景観が損なわれてしまう。そんな折にオルケアの諸角さんがうちに来て、行政に対する「景観保護」の署名運動に協力して欲しいと言うんだ。景観を大事にしながら、地域を活性化させて行きたいという、オルケアさんにはそういう「理念」があると私はとらえているよ。

奥様もまたひとつ、付け加えて下さいました。

奥様:この辺はあまり雪が降る方じゃないけれど、何年か前に大雪が降ったの。そうしたらオルケアさんはすぐに1台の除雪機を買って下さったの。土地によっては、行政の除雪機がすぐに来てくれない場所も多いから、たくさん雪が降った日の翌日には、オルケアさんが除雪して下さる。多くのお施主さんが、本当に助かっていると思います。

オルケアの取り組みや、大事にしていることをしっかりとご評価頂いていることを大変光栄に感じました。インタビューの中で、ご主人がたびたび引用した言葉が印象的でした。

不易流行」と言います。理念や真理のようにいつまでも変わらない本質的な価値(不易)と、時代の変化や技術の進歩によって変化を重ねるもの(流行)。どちらが欠けてもダメです。

頂いた奨励に恥じぬよう、今後もより良い家づくりを実現して行きます。身の引き締まるような、貴重なインタビューになりました。

※当インタビューは2019年8月に行われました。文章・写真は全てお施主様のご承諾を頂いた上で掲載させて頂いています。