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栃の一枚板を使ったカウンターと、古民家建材の再活用。多くの人が参画した、コラボレーションの家

木々に囲まれた素晴らしい立地

敷地全体の景観を考えるランドスケープデザイン

理想の土地は、なかなか見つからない

暮らしを考えたとき、家の間取りや内装はもちろん重要です。しかしオルケアでは八ヶ岳で建築を扱うにあたり、その家の外構やお庭を含む敷地全体、またはその敷地を外から眺めた時の見え方までも含めてデザイン・設計を考えます。自然を切り取って人工物を作るわけですから、せめてその自然と調和した美しい景色を作りたいという思いがあります。こうしたランドスケープ・デザインからのアプローチは、具体的な「暮らし」の設計も含みます。

ご紹介する事例のご依頼主はK様。こうした「ランドスケープ・デザイン」についてのオルケアの考え方に共感してくださり、お声をかけて頂きました。ランドスケープ・デザインを実践できる場所。「十分な広さ」と「八ヶ岳ならではの眺望」を条件に、土地探しが始まりました。

オルケアがお付き合いさせて頂いている不動産会社を一軒ずつ回りながら、K様とオルケアの「思い」が実現できる土地を探します。しかしなかなか「理想の土地」は見つかりません。土地探し全般に言えることですが、すべての希望を叶える「パーフェクトな土地」というものは存在しません。「良い土地」を求め続けながら、「譲れない点」と「妥協できる点」を整理していくことで、その人に合った土地と出会うことができるのです。その「出会い」が偶然やってくることもあります。最終的にK様が「ここ」と決めた場所は、意外なところからもたらされました。

南アルプスがのぞく、広葉樹に囲まれた美しい土地

土地探しに奔走する私たちのことを知り、昔からオルケアの建築に携わってくださっている大工さんが声をかけてくれました。

良い土地があるよ。ずっと空き地のままだから、使ってくれよ。

広葉樹に囲まれた静かな場所

紹介してもらったのは、その大工さんが先祖代々保有している土地でした。緩やかな丘の上に当たる場所、美しい広葉樹に囲まれた広い土地です。K様は一目でこの場所が気に入りました。木に囲まれているにもかかわらず、その場所からは南アルプスの山々を望むことができます。JR駅からタクシーで来れる立地の良さや、上下水道が完備されていた点も、決断を後押ししてくれました。

多くのご友人が参画した家づくり

K様はご友人が多く、家づくりについてたくさんの方々に様々な相談をしました。建築士・ファブリックデザイナー・家具職人、etc。いろいろな専門知識を持った方から、たくさんのアドバイスをもらいます。それを、オルケアがまとめ上げます。「船頭多くして船山に登る」と言いますが、様々な人の主張が入り混じるプロジェクトは、思うように意見がまとまりにくいことがあります。しかし今回の場合には、皆様のご意見やアイデアが、自然とK様のご趣味やセンスに寄り添っていくようなところがありました。これもご本人の人柄なのだと思います。

ご友人の方に頂いたというキルト

ダイニングの天板を探しに、木場の市場を訪問

キッチンに置く大きなカウンターテーブルには、栃の一枚板を使いました。キッチンの設備は、ご友人からのおすすめもあり、全て米国から輸入することになったのですが、カウンターの天板だけは国産の木材を使いたいというご要望です。「納得のいく素材選び」を実現するために、オルケアとともに向かったのは新木場にある東京木材市場。ここで一点ものの最高級品を競り落とそうというわけではなく、次々に運ばれ落札されていく木材を眺めることで、どんな質感の天板が好みかを肌で感じてもらうことが目的でした。「家を建てる」という場面でもない限り、こうした現場に触れる機会は、なかなか得られないものです。

栃の一枚板を使ったカウンターテーブル

施主様の古民家から建材を再利用

家のところどころには、施主様の生家である日本家屋から持ち運んだ建材や装飾品が使われています。八ヶ岳への移住で取り壊されることになった古家。K様とご家族の思い出が凝縮された家のせめて一部だけでも残したいというご希望によるものです。古家の大きな梁はそのまま利用し、建て具や照明・飾り棚など、さりげないところに昔の思い出がちりばめられています。ご友人のインテリアデザイナーの方が様々に工夫を重ね、古い道具を再利用してくださいました。

古民家にあった家具や建具を再利用

四季の移ろいを感じられる家

K様のもうひとつのこだわりは、「家全体で八ヶ岳の四季を感じられるデザイン」でした。敷地を取り囲む自然の林を活かしながら、家の中のどのお部屋からも、庭と木々がよく見えるように工夫しました。広いウッドデッキに置かれたテラス席は、K様の一番のお気に入りの場所。寒い冬にも、この場所で毎朝1杯のコーヒーを飲む習慣を欠かさないそうです。季節の変化を実感し楽しむのには、早朝の時間が一番だからです。

庭が一望できる大きなテラス

冒頭にお話しした「ランドスケープデザイン」の考え方は、家や庭の配置だけでなく、「家と外」のつながりも大切にしています。車道から車で帰宅したとき、まず目に入るのは敷地のどの部分なのか。車を駐車スペースに停めるとき、何が目に入るのか。車から降りて玄関へ向かうアプローチの途中で、住まい手の目を楽しませる工夫はあるか、など。「八ヶ岳の自然を存分にあじわう」ために、施主様とあらゆる検討を重ねました。

陽の光をいっぱいに吸い込む、明るいリビング

「家全体で八ヶ岳の四季を感じられるデザイン」。家だけではなく生活全体、敷地全体を通じて「自然を存分にたのしむ」ために、施主様とともにチャレンジしたオルケアのランドスケープ・デザインです。様々な方のアドバイスとご協力のもと、K様とオルケアの思いが結実した家づくりになりました。