第10回

見積書について

〜 何を信じたら良いの? 〜

「ミツモリショ」、これは自宅の建て替えなど特殊なケース以外では、なかなか見ることの無いものです。会社によっては、詳細な見積書であったり、 ほとんど大項目しか記載のない見積書もあります。私は建築に携わるものとして、この詳細な見積書の内容が、果たして一般の人に理解されているかな?と感じています。

建築お見積書。どんな項目が明記されてますか。

たとえば「遣り方」。これは「ヤリカタ」と読みます。敷地の中で、建物の位置を正確に出すための仕事です。と、言われても、 その作業にどの程度の労力とコストが適切なのかは、なかなか分かりにくいものです。また、「天端均し」。これは「テンバナラシ」と読みます。基礎のコンクリート上面を平らにする工事です。

このように、建築には昔から使われている名称が数多くあり、読み方も難しいものが多いです。最近ではカタカナ語も入ってきており、 「プレカット」あるいは「シーリング」などの言葉も良く分からないと思います。

このような見積書を一般人がどんなに精査しようとしても、内容が理解できる人は少ない上に、記載されている金額が適正であるかについては、ほとんどの方が理解できないとことでしょう。

すると皆さんどうするか?
「家はいくらで出来ますか」
「坪当たりいくらですか」
とにかく、総額で金額を抑えようとします。

そして、そのような皆さんの要望に答えるように「当社の建物は坪当たり○○万円です」、「決算期間限定○○○万円で1棟建てます」などの広告も見受けます。

しかし、おかしいですよね。お弁当の中身が決まっていないのに値段が決まっている。これと同じようなことが、建築業界では行われています。

たとえ同じ設計図を使って建築を行ったとしても、外壁や屋根の仕上げ材料が違っていたり、キッチンセットなどの設備の仕様が決まっていないのに値段だけ決まっている? 間取りだけ決まっていて、中身はあなた任せ。これで良いのでしょうか?

ここ八ヶ岳地域では、平らな土地は少なく、ほとんどが傾斜地になっています。その為、建物を支えるための地層の深さは、ひとつの建物であっても一律ではありません。 たとえ隣の土地であっても、同じにはならないのです。それ故、見積書はオンリーワンでなくてはいけないのです。間取りも決まっていないうちから、「○○万円で建てます!」などと言う話は、厳密にはあり得ない事なのです。 棚を増やしたり、窓の大きさを変更した場合、それなりに金額にも変更が生じなければ「どんぶり価格」ということになります。

住宅の金額を決定する要件は

  • 材料の費用(サッシやキッチンセット、材木など)
  • 職人さんたちの手間の費用
  • 経費

と、に分けられます。
たとえばアルミサッシの価格の中身は

  • アルミ枠の価格
  • 中に入れるガラスの価格(ガラスの種類によって異なります)
  • サッシの組み立て費用
  • 現場への搬入費用

が、合計された価格になります。
材料の価格の中には定価設定のされている物も有りますが、材木やコンクリート等は、その時の相場で価格が変動しています。少なくとも定価のある商品に関しては、いくらの物が見積もられているかの比較が出来ませんと価格が高いのか安いのかがわかりませんよね。また、手間の部分においても作業の程度によって費用は全く変わってしまいます。たとえば、大工さんの作業においても既製品を多用して鋸やカンナなどをほとんど使用しない都会の建物と、 ドア枠や窓枠なども建物に合わせて下ごしらえする工事では、手間のかかり方が全く違います。皆様のオンリーワンの住宅を造るのか?既製品の住宅を造るのか? です。

では、どうすれば良いか?

一般の人が見積書のチェックをする場合、たとえば、サッシの数量と大きさが図面と一致しているか、キッチンセットや浴室などが希望したものになっているか、 定価のあるものは何割引きで記載されているか、などのわかり易い部分を確認することから始めましょう。図面が決定する前に、「坪当たり ○○万円です」とか、「総額○○○万円」です。という言葉が出てくる会社は、決して信用しませんように。




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