体育の日が終わり、今年は夏が無いまま秋に入ってしまった、と思っていたら、早くも師走を迎える時期となってしまいました。
去る10月9日・体育の日の新聞に、スポーツ庁が行った、年代別の運動能力の傾向が発表されていました。これを見ると、ほとんどの年代で体力の向上が見られますが、唯一、30代後半の女性の体力が低下しており、一体どうしたのだろう、と心配になりました。70代後半の女性や60代後半の男性の体力が高い位置にあるのですが、どうやら、全年代が同じ検査種目では無かったようです。
私も今年で62歳ですが、かれこれ18年、スポーツジム通いをしていますので、60代の中でも体力はある方だと思っています。
最近、ジム仲間と自分自身を見て感じているのが、「肉体年齢を若く保つと、精神年齢も若く保てるのではないか」ということです。ジム通いが10年を過ぎたということは、年齢もその分上がったということなのに、見た目は若返ってきているように感じるのです。もちろん、根拠は何もありませんが。
ジムでどの様な運動を行っているかと言うと、私はレスミルズが配信するスタジオプログラムが好きで、筋肉トレーニング、格闘技系トレーニング、エアロビクス系トレーニング、ダンス系トレーニング、ヨガ系トレーニングなど、運動時間60分間の各プログラムに参加しています。ひとつのプログラムを1本と呼び、休日には2~3本、1週間で6~7本行います。
写真は、レスミルズ本部が配信している格闘技系トレーニングの画像です。プログラムを宣伝する画像ですので、この様に派手なウエアを着ていますが、私も着ています。一緒に参加している方々も同じで、皆、とても50歳前後には見えません。
「人間の体は、いくつになっても運動することで若返る、その分、精神年齢も若返るのだから、62歳でもこの様な格好をするものだ。」家族に何と言われようとも、ジム仲間以外の人の冷ややかな視線を浴びようとも、持論は曲げられません。
しかし、体が若返ると言っても、それは首から下のことであり、首から上の部分は年相応で、物忘れは頻繁ですし、細かな文字を見るには、老眼鏡が必須です。私には20代にも見える美しいジム仲間達も、スマホをいじる時には老眼鏡で、首から上も若返りたい、と強く願います。
今年は異常気象と言って良いのか、東京では夏らしさをあまり感じませんでした。夏休みに宮古島に行く計画を立てていましたが、台風で飛行機の欠航が決まり、急遽、行き先を台風から一番遠い稚内に変更しました。かつて、高校生の時の北海道ひとり旅以来、46年ぶりの稚内でしたが、駅舎も街並みもすっかり綺麗に整備されており、近代的な街となっていました。
46年の年月が経てば、そこに住む人たちも変わり、人口も変わったものと思います。地方における人口減少は著しく、その為に空き家が増えてきている状況は、稚内のみならず、日本全国の都市が抱える問題となってきています。
日本の住宅ストックは、平成25年時点の総住宅戸数が6,063万戸で、その内の空き家率は13.5%に達し、818万戸となっているそうです。平成25年以降の住宅の供給戸数は、平成26年度で88万戸、平成27年度で92万戸の住宅が新たに建設されており、新築された戸数だけ、空き家が増えたことになります。
ひと言で既存住宅、あるいは中古住宅と言っても、いつの時代に出来た建物であるかによって性能には大きく差があり、その性能を決めるポイントは、大きく次の4つの項目に分けられています。
(1)構造性能
住まいの学校2「第1回 2016年熊本地震を受けて」で述べましたが、阪神淡路大震災での建物被害状況を受け、2000年(平成12年)に建築基準法が改正され、木造軸組工法の構造基準が大幅に改善されました。これによって、法改正以降に建築された建物の構造強度はかなり強くなりましたが、法改正以前に建築された建物のおよそ8割は、震度7の地震で倒壊する可能性が高いと言われています。
(2)防火性能
皆さんの記憶にも新しいことと思いますが、昨年2016年12月22日の正午前、新潟県糸魚川市で火災が発生しました。建物の密集地であったこと、強風が吹いていた気象条件が重なり、消火活動は困難を極め、鎮火したのは翌日の夕方でした。建物の焼損棟数は140棟を超え、類焼面積はおよそ40,000㎡という、大規模な火災でした。
糸魚川市においては過去にも大火が発生しており、1960年(昭和35年)の時点で、今回の被害地域が「準防火地域」に指定されていたそうです。「準防火地域」とは、隣接地で火災が発生した際に自宅が延焼しない様、地域内に建物を建てる際は、屋根・外壁・軒天等は不燃材で被覆し、サッシには網入ガラスを使用する等の規制がある地域です。
昨年の糸魚川市の火災では、消失した木造家屋が多く見られ、おそらくそのほとんどは、「準防火地域」指定以前に建てられた、燃え易い建物だったと思われます。しかし、中には、比較的新しい建物ではないかと推察されるものもあり、果たして正しい防火被覆が施工されていたのか、疑問が残る建物も見られました。
(3)断熱性能
断熱性能については、来る2020年の「低炭素住宅」導入に向けての法整備が進められていますが、現在の建築基準法での規制はありません。したがって、現在建築されている建物のほとんどは、規制の無い仕様での建築となっており、現段階での断熱材施工後の第三者検査は、建築性能評価における検査が唯一のものです。
断熱に関する仕様の具体的な整備が始まったのは、性能評価制度が開始されてからであり、断熱の性能について話題になり出したのも、この15年程のことと記憶しています。断熱材の正しい施工手法についての講習会などは、低炭素住宅導入を前にして昨年より行われ始めたもので、正しい施工方法の普及には、まだ少し時間が掛かるものと考えられます。
(4)防水性能
「雨漏りが発生した場合は、施工会社が責任を持たなくてはいけない」という、建物の防水に対する責任が明解になったのは、2000年(平成12年)4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)によるものです。施工者は、雨漏りに対して10年間責任を持つことが記載されました。しかし、この法律では、責任の所在は明解になったものの、雨漏りしないための技術的内容については、整備が追い付いていませんでした。防水の技術的内容は、俗に言う耐震偽装問題を受け、2008年(平成20年)4月施行された「瑕疵担保履行法」により明解にされ、現在に至ります。したがって、それ以前に建築された建物の防水は、現在の基準と比べた場合は、曖昧な手法であると言えます。
この様に、技術や法整備が日進月歩である以上、ひと言で「既存住宅」と言っても、いつ、誰が造ったかによって、その性能は大きく異なります。最先端の建材で建築したとしても、新たな素材や技術の開発はどんどん進みますし、新築時の法律に適合していたとしても、新たに整備された法律には不適合となってしまうことは、やむを得ないことと言えるでしょう。内装・外装のリフォームを行い、どんなに見た目の綺麗さを保ったとしても、性能の本質は変わりません。
人間の場合には、どんなに運動をしても、首から上の部分の老化には抗えません。しかし、建物は、本質的な性能向上のリフォームを行うことが出来ます。
もし、皆さんが中古住宅のリフォームを行うのならば、どうぞその様な時代背景も踏まえつつ、専門家に相談をしてくださいますよう。