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農家の生活を考慮したデザイン、村の仲間や親戚が集まる家

生活に沿った建築を

オルケアの拠点である山梨県北杜市に隣接した、長野県 川上村。村全体が標高1,000mを超える高冷地で年間の日照時間が非常に長い地域です。レタスの生産に適した気候で、現在では日本有数のレタス産地として有名です。大規模農家が多く、人口の半分以上が農業を営んでいます。家族や親戚が助け合いながら農業に取り組む姿勢や、その生産性の高さが、全国の農家の注目を集めています。

今回ご紹介する事例、お施主様はその川上村で農業を営む、S様。ご両親やご親戚と共に農業を営む大規模農家です。ご両親・ご家族のライフステージの変化や、お子様の成長に合わせ、ご自宅の建替をご依頼いただきました。建築デザインでは、農業を軸にしたこの地の生活習慣・ライフスタイルを考慮した設計が重要になりました。また、高冷地では住宅の機密・断熱性能も大変重要です。デザインと高気密・高断熱住宅。オルケアのこれまでの経験が活かされます。

繁忙期、休憩や仮眠に利用できる大きな土間を設置

向かって右手前には大きな土間。

川上村の繁忙期は夏。夏が短い高冷地のため、野菜の栽培・収穫は、どうしても夏期に集中します。この時期は、未明から畑に出て、夜遅くまで作業が続きます。そんななか、作業の合間に少し休憩したい時や、翌日の起床までに十分な時間がなく仮眠で済ませたいときなどに活用できるよう、暖炉を置いた広めの土間を設置しました。

暖炉を置いた大きめの土間

大きめの土間は、ご主人が休憩・仮眠をとるのに十分なスペース。荷物や道具を置いたり、人の出入りがあっても窮屈でない広さを確保しました。水回りも設置し、トイレへの動線、空調なども、奥の生活空間とは独立して使えるように設計しています。ご親戚や村の友人が集まって、くつろげるスペースとしても活用されています。

家庭と職場が近い環境の中、プライベートな空間をどう確保するか

家の中心のリビング。

家の中心はリビングルーム。日頃から来客の多いS様。たくさんの人が集まれるよう、和室とつながる広々とした設計にしました。キッチンからはこのリビングルームと、1階の全体像が見渡せます。一方、キッチンの両脇にはパントリーと小さな作業場を設置してあります。また、キッチンから出られるプライベートテラスも設置。これらの場所は、リビングルームから視覚的に遮られており、奥様のちょっとしたプライベート空間になっています。賑やかな中にも、ちょっと一息つきたいときに、ちょうどよいスペースです。

キッチンの脇には、リビングから視覚的に独立したパントリーや小空間を設置

リビングの脇には、二人のお子さんのためのプレイルームを設置しました。まだ小さいので、リビングルームはおもちゃで散らかりがちです。プレイルームがあることで、来客があったときには、すぐにおもちゃを片付けられるようにというアイデアです。

お子様のためのプレイルーム

来客とのコミュニケーションや、農業と家庭との接点である土間を重視した1階に対し、2階は家族だけの場所。リビングホールを設置し、造作家具で仕切られたご主人の書斎も置きました。二人のお子さんの部屋は、成長に合わせ、2部屋に分けられるように設計。2階は、家族だけの時間が過ごせるプライベート空間になりました。

2階は寝室だけではなく、リビングホールを設置

造作家具で部屋を区切った、ご主人の書斎

「はなれ」との接続部まで、高断熱・高気密に配慮

新しく建てた家の脇には、ご両親が暮らす「はなれ」があります。家族は新しい家と「はなれ」を自由に行き来できるように、通路を設けました。オルケアの建築は、「高気密・高断熱・省エネ」が基本です。しかしこうした接続部から冷気が入り込んでしまっては、住宅全体の性能を損ないかねません。この部分には、外気をいったん遮断する独立した空間を設け、断熱性のドアを選択しました。

「はなれ」との接続部分

オルケアの建築における「高気密・高断熱」の性能は、多くのお施主様からご好評を頂いておりますが、S様からもメッセージを頂きました。真冬に、二人のお子様がランニング姿で汗をかいて寝ていたそうです。「オルケアさん、暖かいお家をありがとう」というお子様からの伝言。実際に住んでみてから、お施主様にこうしたメッセージをいただけるのは、建築家として何よりも嬉しいことです。