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住宅性能を追求した標高1200mの高冷地に建つ木造平屋の別荘

標高1200m程の高冷地で、南西に傾斜した日当たりの良い土地。

建築前:標高1200m、南西に傾斜した土地のために日当たりが良い。

今回のご紹介は、標高1200m程の高冷地に建つ木造平屋の別荘です。林間ではあるものの、南西に傾斜した土地のために日当たりが良い土地でした。


美しい景観と日中の太陽光を取り入れる為の大開口

美しい景観を家の中に取り入れ、日中の太陽光をふんだんに取り入れるための大開口を前提とした配置計画が必要でした。一方で家の熱が一番多く逃げてしまうのが大開口部分ですし、構造的にも不利になりがちです。

大開口のリビング

こうした矛盾点を克服する設計体制や経験値はオルケアの得意とするところですが、お施主様はそうした建物の特性を数値化して事前に把握することを望まれていました。実は、このお施主様はプロも顔負けの建物の耐震性能や省エネ住宅性能を研究してこられた方で、驚くほどの高い省エネ性能のご自宅を東京で10年も前にすでにお建てになっていらっしゃいました。
前述の数値で表現しますと、ご自宅の断熱性能は「0.8」、気密性能が「0.19」です。都会の省エネ住宅の基準が「2.4」、気密が「5」であったり、厳しい基準である北海道の次世代省エネ基準でも「1.6」、気密が「2.0」ですので、住宅の性能を研究している者にとっては、ご自宅の性能の凄さが分かります。
こうした住宅に快適にお暮しの体感があり、数値の意味も正確に把握されているお施主様との山荘建築は、オルケアとしても願ってもない出会いであり、実際に多くのことをお施主様から学ばせて頂くことが出来ました。

大開口のリビング

リビングから寝室へ抜けた開口

オルケアでは全ての建物に当たり前の様に行っている構造計算

建物の形状は耐震構造としての検証が難しい「への字=曲がり屋」でしたが、今までにも沢山の検証し施工して参りました。オルケアではすべての建物に当たり前のように本格的な構造計算を行なっていますが、2016年現在の日本の年間木造住宅の総数は約30万戸の中で、簡易的な壁量計算ではなく、構造計算を行っている数は全体の6%に過ぎません。
今回もへの字の建物の構造検討は1棟として単純に構造検討が出来ないために、先ずはへの字の左右の建物部分、つまり二つの構造体をそれぞれ構造計算して更にそれを合体させた建物としての検討を行いました。

リビング:への字=曲がり屋

リビングから玄関:への字=曲がり屋

またオルケアの建築は、単に住宅性能を追求するだけではなく、お施主様の様々なご要望にもお答えします。今回は食品や漬物を保存する為の「寒い部屋」を造ってほしいとの要望があり、玄関脇に断熱壁で囲った特別な室内倉庫を設けました。暖房により室内が15-20度でもこのスペースは3-7度程度を維持出来ます。

パントリー:一番奥のドアの向こうは”寒い部屋=室内倉庫"

パントリーからキッチン

造作収納家具(閉じた状態)

造作収納家具(開いた状態。電気釜等、様々な収納用途)

造作収納家具(リビング側から)ジャバラのドアを開くとTVが収納されています。

更に、施主様から森の景色を見ながらピアノを弾きたいとの要望があり、南東側に大きな窓とリビングに繋がる大扉のある趣味室を設けました。天井には反響音を抑える吸音材を貼り、反響音を抑えつつ山荘室内全体にピアノの音色が広がる様に設計・施工いたしました。お施主様からも大変ご好評を頂きました。

リビングから繋がる趣味室

リビングから繋がる趣味室

ピアノの音が別荘全体に響き渡るように設計・配置しました

ピアノを弾きながら、夕日の入り・春には一面緑の景色が見えます。

山荘の性能数値は?

山荘の数値性能ですか?
結果は断熱性能が「1.3」、気密性能が「0.5」でした。ご自宅の建物基準には負けましたが、都会と違い圧倒的な開口面積を考えると、数値としても、体感としての暖かさとしても、「オルケアにして良かった」とのお褒めの言葉をお施主様から頂いています。

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