昨夜からの雨は明け方には上がったが、梅雨らしいどんよりとしていて直ぐにでも又降り出しそうな空模様だ。冬時の基礎工事と同じように気を使うのが、梅雨時の上棟だ。これから建築工事が始まる方々にお節介かも知れないが、参考になればと思い留意点を書き留めて置きたいと思う。
梅雨時の上棟の留意点
1. 基礎が出来上がり、上棟迄の間の雨養生をしているか?
上棟前に基礎の中に大量の雨が降り込んでいると水中ポンプなどでかい出すことになる。大きな基礎だと中々困難だが、基礎の中心部に脚立や足場を作りそこから基礎の周辺まで傾斜を付けながらブルーシートで養生するのが最良だと思う。
2. 構造材の雨養生が出来ているか?
上棟時に使う建物の骨組みとなる構造材は大きくて長いものが多い。これらは事前に現場に搬入されている。この材料を濡らしてしまっては後々のカビの原因にもなりかねない。プレカット工場などから来る材料は厚手のサランラップのようなフィルムで包まれているので、少々の雨であれば問題はないが、その上にブルーシートで更にくるむのが一般的だ。材料搬入から上棟迄の日にちが空く時は、朝晩の気温の差でフィルム内の材料が結露でビショビショになっていないか、チェックも必要となる。材料の足下部分は雨の跳ね返りでフィルムがなかったり、破れたりしていると、土汚れが酷くなることもある。
オルケアでは基礎周りの広い範囲にわたってブルーシートを張って工事中の泥汚れを防ぐようにしている。
3. 天気予報を見ながら上棟日の調整をしているか?
上棟は棟梁の知り合い大工さん達を招集して5-6人から10人程度で総掛かりの仕事となる。大工さん達も日当ベースで応援に来るので、当日のキャンセルは収入減にも繋がるので、決行する大工さんもいる。オルケアでは材料を濡らさない事を原則としているので、前日の予報で最終決定して順延している。一番厄介なのが、晴れ予報であっても局所的に降る雨だが、最近の棟梁はスマホを持って、そうしたスポット雷雨などを予測して建物をブルーシートで覆ったり剥いだりしている。
仕事が進まなくて大変な日もあるが、材料を極力濡らさないという気持ちが隅々まで伝わっている姿を見るととても嬉しく思う。
4. 床面の雨養生はどうしているか?
オルケアでは床の構造用合板を張った段階で、ツーバイフォー用の養生フィルムを張っている。これは先ほどの厚手のフィルムのようなもので、屋根の雨養生が終わるまでの短期間使うようにしている。この養生に関しては一長一短で、仮に雨が吹き込んだりすると、フィルムどうしの重なり代から雨水が入り込み雨水の蒸発も出来ない為に構造用合板の水濡れの程度が酷くなることも考えられる。又、フィルムが丈夫なので、土足でも床が汚れず、現場に土足で上がる人が出る可能性もある。オルケアでは、当たり前のことだが、そうした職人さんは一人もいないが注意事項の一つだ。
屋根の野地板を張り終わった後の雨養生はどうしているか?
屋根の骨組みである垂木をかけ終わったら、屋根の下地となる野地合板を張っていく。これが終われば、屋根防水の要であるアスファルトルーフィングを張っていく。オルケアでは夕方頃に屋根屋さんが入ってくるように段取りして、彼らにルーフィングを張ってもらう。時間が押し迫って当日中にルーフィング工事に至らない時は、ブルーシートを敷き詰めて、その上に木材を打ち付けて風でも飛ばないような養生をする。ルーフィングを張る時に重要な点は、大工さんにさせないことだ。屋根屋を待機させず、工事工程を簡略化してコストを下げるには、ルーフィングを大工さん達にお願いする所もあるが、オルケアでは屋根屋に張らせるようにしている。屋根屋に言わせると二つの理由からだ。
最初の理由は雨漏れは屋根屋にとっては致命傷。防水の原点を人任せにしたくないから。2つめはルーフィングの止め方はタッカーというホチキスの親分の様なものを使うので、大工さん達であれば全く問題ないが、屋根の野地板を打ち付けた時に釘の頭が少しでも浮いていると、それがルーフィングの破れに繋がるので、自分たちは野地を打ち付けた釘頭を一本一本確認してフーフィング張りの作業をしているからだという。
実際の物作りでは一人の作業員に一人の監視者を置くわけには行かず、結局工務店頼り、職人頼り、現場監督頼りという「信頼の世界」で成り立っているのだが、その信頼という形のない大切な想いを、具体的なクオリティー維持向上に繋げるチェックリストをどの程度用意していて、どのようにそれを実際に使っているかを尋ねることが、素人であるお施主さんがその会社の質を確認する方法の一つではないかと思う。