住宅の性能を高める為には、工法や職人の腕だけでなく、使用する建材選びも重要です。
今回は、オルケアが使用している建材の中で、
窓ガラスと断熱材について解説していきます!
この記事を読んでわかること
- 窓ガラス選びのポイント
- 断熱材の種類と特徴
- オルケアが採用している窓ガラスと断熱材について
– 目次 –
■窓ガラス選びの重要性
屋根、壁、床など家には様々なパーツがありますが、
その中でも窓は断熱を考える上で非常に重要なポイントです。
家の断熱性能の5〜7割は窓で決まるとも言われています。
その理由は、窓は熱損失の割合が大きいからです。
熱損失とは熱が逃げていってしまうことで、家の中で最も熱損失の大きい場所が窓です。
日本の一般的な窓はアルミサッシと1枚ガラス(シングルガラス)で、
これだと窓の大きさにもよりますが50%以上の熱が窓から逃げていってしまいます。
また反対に、熱が入ってきてしまうのが一番多い場所も窓です。
他の部分と比較した割合はおよそですが以下の通りです。
▼熱の流入と損失の割合
※夏の場合:夏の冷房時に外から熱が入ってくる割合※冬の場合:冬の暖房時に室内の熱が出ていってしまう割合
[参照] (一社)日本建材・住宅設備産業協会
このように窓は熱の出入りが一番多い場所なので、
住宅性能を高めるためには、断熱性能の高い窓ガラスを選ぶことが重要だと言えます。
■窓の性能で重要な「熱貫流率」
窓ガラスの性能で大事なのが「熱貫流率」というものです。
熱貫流率(U値)とは、
材料自体の熱の伝えやすさだけでなく、材料の厚さも考慮して熱の伝わりやすさを表した値のことです。
少し難しいですが詳しく言うと、
室内外の温度差が1℃の場合、1時間当たりに1㎡を通過する熱量のことです。
熱貫流率は数値が低いほど性能が高いと言えます。
計算式:U値 = 1 / 材料の厚さ(m) ÷ 材料の熱伝導率(W/m・K)
■窓ガラスの種類と熱貫流率
窓ガラスはその構成によって種類が様々で性能も異なります。
断熱性能を考える上では、熱貫流率が低い(=断熱性能が高い)窓ガラスを選ぶことが大切です。
▼窓ガラス別性能表
※U値はあくまで目安です※窓ガラスの種類は他にも様々ありますが、断熱性能という観点から5つに絞っています
この表の通りU値を見ると一番断熱性能が高いのはトリプルガラスなのですが、
オルケアではトリプルガラスをあまり採用せず、アルゴンガス入りLow-E複層ガラスを採用しています。
■オルケアが選ぶ窓ガラス
なぜ、一番断熱性能が高いトリプルガラスを選んでいないのか。
その理由は、
- 重量による躯体への負担
- 性能差
- コスト面
の主に3つがあります。
1つずつ簡単に説明していきます。
[ 1. 重量による躯体への負担 ]
トリプルガラスはその名の通り3枚のガラスを重ねているので、
当然シングルガラスよりもペアガラスよりも重量が重くなりその分躯体への負担も大きくなります。
【簡単解説】「構造計算の実態と重要性について」の記事でも書いていますが、
建物自体の重量が重いほど地震の揺れを大きく受けるので耐震的にはあまりよろしくありません。
また、オルケアでは多くのお客様から大開口の窓のご要望があるですが、
トリプルガラスだと重量制限によってご要望に添える大きさの開口部を取ることができなくなってしまうことがあります。
[ 2. 性能差 ]
トリプルガラスが断熱性能が高いのは事実なのですが、先ほどの表の通り、
「アルゴンガス入りLow-E複層ガラス」も断熱性能が高く、トリプルガラスとの性能差はあまりありません。
オルケアで利用している「アルゴンガス入りLow-E複層ガラス」で良いものはU値が1.1w/㎡・Kくらいなので、
トリプルガラスのU値0.9w/㎡・Kとの差は微々たるものです。
[ 3. コスト面 ]
トリプルガラスの値段はとても高く、ペアガラスの2倍にもなってしまいます。
全ての窓をトリプルガラスにしようとすると、一軒家を建てる際にプラス100万〜150万くらいかかってしまいます。
これらのことから、
トリプルガラスと性能差があまり無く、躯体への負担的にもコスト的にも良い
アルゴンガス入りLow-E複層ガラスを選んだほうが良いと考えています。
■断熱材の種類と特徴
断熱材とはその名の通り、熱を伝えないようにするための材料です。
断熱材には多くの種類がありそれぞれ特徴が異なるので、どの断熱材を選ぶべきか悩むところです。
その判断基準は断熱性能はもちろんのこと、材質、コストなど色々な面から考えると思います。
ここではその種類と特徴について簡単にご説明します。
断熱材の種類は大きく分けて4つあります。
「無機繊維系」「木質繊維系」「発泡プラスチック系」「天然素材系」の4つです。
■オルケアが採用する断熱材
上記の表のように様々な断熱材がある中で、オルケアは、
超高性能な硬質ウレタンフォームのパネル系断熱材を採用しています。
多くの断熱材がある中でなぜこの断熱材を選んでいるのか、
それは、断熱性・気密性・耐震性のそれぞれの性能から考え出した結論です。
この詳しい理由について、断熱材の工法という観点からご説明します。
実は断熱材の工法には、外張りする方法(外張り断熱)と内側に充填する方法(内断熱)の2種類があります。
[ 外張り断熱 ]
外張り断熱は柱の外側に断熱材を設置する方法で、建物を断熱材で囲むことができ、
これによって気密性を非常に高くすることができるのがメリットです。
<イメージ>
デメリットは、使用する断熱材の性能を高めようとすると断熱材の厚さを厚くしていかなければならず、
厚くすればするほど窓が構造体から離れてしまいます。
そうすると大きな地震が起きた時に揺れに耐えられず、窓が落ちてしまうことがあります。
実際に昔は北海道で外張りの断熱材を厚さ10cmくらいまでやっていたところもありましたが、
十勝沖地震で多くの窓が落ちてしまったという事例があります。
このように、外張り断熱では断熱性能を高めたくても厚みに限界があるのが難点です。
オルケアでも昔は押出法ポリスチレンフォームの外張り断熱をしていましたが、
その後はウレタンフォームの吹き付け充填断熱方法に切り替えました。
[ 内断熱 ]
内断熱はグラスウールなどの綿状の断熱材を壁内に詰めていく方法が一般的です。
コストパフォーマンスは良いのですが、厚みあたりの性能が低いことと気密を取るための造作がかなり大変な為、オルケアでは使用していません。
次に多いのが吹付断熱です。
建築系のテレビ番組で見たことがある方もいると思いますが、機械を使って断熱材をスプレーで吹き付けていく方法です。
内側に吹き付けるので外壁への影響が無く、柱の間に断熱材を設置するので外壁が厚くなることはありません。
コストは少しかかるのですが、気密が取りやすく厚みあたりの性能が良いので、採用が増えてきている工法です。
断熱性能的には、外張り断熱で*Ua値0.5くらいだったものが0.4を切るくらいにまでなりました。
*Ua値についてはこちらの記事をご覧下さい。
▼記事はこちら 【住宅性能の要】Q値・Ua値・C値で建築を見る重要性
オルケアでは15年程前からこの方法で断熱を行なっており、最近では八ヶ岳の建築事務所でも吹き付け断熱が増えてきました。
しかし、気密性に関してはどうしても外張り断熱よりは劣ってしまい、結露が発生する可能性が高くなってしまう懸念があります。
そこで、2020年くらいから新しく採用しているのが、超高性能な硬質ウレタンフォームのパネル系断熱材です。
この断熱材は板状の断熱材で厚みあたりの断熱性能がとても高く、
従来の外張り断熱のような分厚い壁にすることなく今までの以上の断熱性能を発揮することができます。
実はこちらの断熱材、今までは伸縮性の問題で手が出せずにいました。
木造の建物は乾燥で伸縮する性質があり、実は3%〜5%くらいも伸縮します。
従来の硬質ウレタンフォームは柔らかい素材なので、木造躯体の伸縮に合わせて断熱材も伸縮してくれたのですが、
パネル系断熱材はカットしたらその大きさのままで伸縮することはありません。
そうすると断熱材と躯体の間に隙間ができてしまい気密性が悪くなる可能性があります。
これを解決する為に、提携工場にて断熱材をレーザーで正確にカットし、これを構造用面材に取り付けています。
更に伸縮性のある特殊な充填剤を工場内で施工することで、現場で取り付ける際に隙間がほとんど無く躯体の伸縮にも対応できるようになりました。
このように、断熱性能が高く、気密性も確保し、耐震性にも配慮した
超高性能な硬質ウレタンフォームのパネル系断熱材をメインの断熱材として扱っています。
■まとめ
- 住宅性能を高めるために窓ガラスと断熱材選びは重要
- オルケアの窓ガラスは、断熱性が高いアルゴンガス入りLow-E複層ガラスを採用
- オルケアの断熱材は、超高性能な硬質ウレタンフォームのパネル系断熱材を採用
住宅性能を高めるためには、使用する窓ガラスや断熱材選びも重要だということがお分かりいただけたでしょうか。
建材の種類は多く選ぶのも大変ですが、家を建てる際はこちらの記事を是非参考にしてみてください!
次回は、施工水準を高めるためにオルケアが行なっていることをまとめた記事です。
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