暮らしにおいて重要な住宅性能解説シリーズ第2弾。
今回は「気密性能」についてです。
気密性能とは、
家の隙間を無くして外の厳しい寒さや暑い空気を室内に侵入させない性能
のことです。
本記事ではオルケアが大事にしている高気密について詳しく解説していきます!
なお、以前の記事で、住宅性能の重要性とその性能数値の見方について説明しています。
まだ読まれていない方は、是非こちらを先にお読みください!
▼記事はこちら 【住宅性能の要】Q値・Ua値・C値で建築を見る重要性
この記事を読んでわかること
- 気密性能の概要
- 気密の重要性について
- オルケア建築の高い気密性能について
– 目次 –
■気密性能とは
断熱性能は分かるけど気密性能はよく分からない、という方もいるかもしれません。
冒頭で書いた通り、住宅の気密性能とは、
家の隙間を無くして外の厳しい寒さや暑い空気を室内に侵入させない性能のことです。
隙間が多い家は外の空気が入ってきてしまいますが、
隙間が少ない家=高気密な家は外の空気が室内に入り込みにくくなります。
■気密性が高いほうが良い理由
“家の隙間を無くして空気を室内に侵入させない”と聞くと、
「気密性が高いと息苦しくならないの?」「空気は入れ換えた方がいいのでは?」
といった疑問が生まれてくると思います。
なぜ、高気密のほうが良いのでしょうか。
その理由について、換気・断熱・湿度の観点から簡単に解説します。
<気密性と換気の関係>
まず「息苦しさ」ですが、
現在では機械的に24時間換気することが法律で義務付けられているので、気密性が高い家だからといって息苦しく感じることはありません。
そして、換気には大きく分けて「自然換気」と「機械換気」の2種類があります。
- 自然換気:窓や壁などの隙間風や温度差による自然な換気のこと
- 機械換気:文字通りファンなどの機械を使って行う換気のこと
家の隙間から換気される自然換気は効率が悪く不安定で、機械換気は安定した換気ができるのですが、
家の隙間が多い(=気密性が低い)と換気扇による空気の入れ換えが上手く出来なくなってしまいます。
気密性が高い家では計画的で効率的な機械換気が可能となり、家の中の空気を新鮮な状態に保つことができます。
<気密性と断熱性の関係>
前回の記事で解説しましたが、住宅において建物内の温度差は大事な要素の一つです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
▼前回の記事はこちら 八ヶ岳で求められる住宅性能 ー断熱性能ー
建物内の温度差を無くすには断熱性ももちろん重要ですが、実は気密性もとても大事です。
気密性が低い家では隙間から勝手に空気が入ってきてしまうので、
夏はムワッとした熱い空気が、冬はヒヤッと冷たい空気が入ってきてしまいます。
断熱性が高くても気密性が低いと家の中の温度に偏りが出てしまうので、
断熱性能が本来の力を発揮するためには、気密性は欠かせない要素なのです。
実はオルケアの事務所は全面が吹抜空間なのですが、普通、寒冷地では吹抜は避けるべきと言われています。
上階と下階で温度差が出やすいという理由でそう言われているのですが、
オルケアの事務所では1階と2階の温度差は殆ど出ません。
床はコンクリートの土間なので普通の建物なら床が冷えて足下が寒くなってしまいますが、そのようなこともありません。
これもオルケアの高気密な建物だからこそ実現できる環境です。
<気密性と湿度の関係>
梅雨の時期など湿度が高いとき、気密性の低い家では外の湿った空気が勝手に入り込み、
室内の湿度が高くなります。湿度のコントロールが難しくなるので不快な環境になり、カビやダニが繁殖しやすくもなります。
更には隙間から入り込んだ湿気が壁の中や床下で結露を発生させ、柱が腐ったり床下がカビだらけになってしまう危険性もあります。
その他にも、気密性が低い家は
- 花粉や砂ぼこりが侵入しやすい
- 室内に害虫が侵入しやすい
- 遮音性が低くなる
といった困った事が起こりやすくなります。
このような観点からも、
快適な住環境にするために気密性はとても重要であることが分かると思います。
■八ヶ岳における気密の重要性
オルケアの建築エリアの気象条件から考えると、より一層、気密性が大事と言えます。
その理由は、寒さです。
前々回の記事でオルケアの建築エリアは札幌よりも寒いことについて説明しました。
▼記事はこちら 【住宅性能の要】Q値・Ua値・C値で建築を見る重要性
札幌より寒い空気が勝手に室内に入り込まない為にも、八ヶ岳では高気密な住宅が求められます。
■気密性能を表すC値
気密性能には性能を数値で表すC値というものがあります。このC値は数値が低いほど気密性能が高いと言えます。
詳しくはこちらをご覧ください。
▼C値についての記事はこちら 【住宅性能の要】Q値・Ua値・C値で建築を見る重要性
例えば100㎡の家でC値2.0というのは、200㎠の隙間が空いているという事になります。
言葉だけではイメージしづらいと思うので、簡単な絵で説明します。
こちらはあくまでイメージで、家中の隙間の面積を合わせた大きさが200㎠ということです。
しかし、10cm × 20cm の隙間と聞くと、「え?そんなに大きな穴が家に空いているの?」と驚かれると思います。
実は家にはいろいろな場所に穴が空いています。
例えばレンジフード(換気扇)の穴やドアや窓の隙間など、普段の生活では気づきにくいところに隙間が空いているのです。
窓の隙間で考えてみましょう。
横幅:120cm 縦幅:80cmの引き違い窓があるとします。
辺の長さの合計:(120 × 2) + (80 × 3) = 480cm
この窓の周りの長さと中央の辺の長さの合計は、480cmになります。
全ての辺に2㎜の隙間があると仮定すると、隙間面積は96㎠になります。
隙間面積:480cm × 0.2cm = 96㎠
こちらの窓が2つあると、隙間面積は192㎠になります。約200㎠ですね。
これはあくまで例ですが、このように家の開口部には意外と隙間があり、
小さな隙間も合わせると無視できない大きさの穴になります。
■気密性能の基準について
実は国内におけるC値の明確な基準は、現在ありません。
以前は次世代省エネルギー基準として地域ごとにC値の基準値が定められていましたが、
2009年の省エネ法の改正によりC値の項目が削除されました。
削除前のC値の基準値は、
北海道・青森県・岩手県・秋田県が2.0c㎡/㎡、それ以外の県は5.0c㎡/㎡という基準でした。
しかし、オルケアでは、C値は北海道などの2.0でも十分ではないと考えています。
■C値の重要性を示す実証実験
北海道にある北方建築総合研究所という研究施設で気密性能の重要性を検証する実験が行われたところ、
C値2.0では想定の50%しか計画換気されなかったという驚きの結果が出ました。
残りの50%は隙間風から給気されたということで、これは、
以前に国が定めたC値の最高基準2.0でも、十分な計画換気ができるとは言えない
ということになります。
C値1.0だと80%計画換気されたということで、高気密の最低ラインはC値1.0ではないかと言われています。
海外では、C値の重要性の理解が進んでいて、
スウェーデンではC値2.0以下が義務、カナダのR-2000という住宅基準ではC値1.0以下となっています。
■オルケアの気密性能
北方建築総合研究所の実験結果を踏まえて、オルケアではC値1.0以下を基準にしており、
オルケアの現在のC値平均は0.5c㎡/㎡となっています。
気密性能はいかに隙間を作らないかにかかっているので、最後は職人の腕とオルケアの要求度によるところが大きいのですが、
断熱と同様に「妥協しない」という方針で性能を徹底追求しています。
また、C値を検証する気密検査について、
2009年の省エネ法改正以降、全く行わないか1回しか行わないところが多いのですが、
オルケアは全棟で気密検査を2回行っています。
建物が上棟し断熱工事が完了した時点と、お引き渡し前に気密検査を行い、確かな性能評価を行なっています。
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■まとめ
- 気密性能は、家の隙間を無くして外の厳しい寒さや暑い空気を室内に侵入させない性能
- 寒さの厳しい八ヶ岳では気密性能はとても重要
- オルケアの気密は高性能なC値0.5が平均で、気密検査は全棟で2回行っている
家には目には見えない隙間がいくつもあり、気にせず家を建ててしまうと、隙間だらけだったなんてことも・・。
快適な暮らしを送るために気密性能を重要視していきましょう。
次回は、躯体内の通気性について解説していきます。
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