第5回

断熱材について

〜 誤った施工なら使わないほうがまし!? 〜

1997年12月11日地球温暖化防止京都会議において議決した議定書が「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」、いわゆる通称「京都議定書」です。

地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一種である二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの削減率を定め1990年基準として各国別に定めたもので、 日本はマイナス6%を約束しました。あれから10年が経ちました。

日本ではマイナスどころか、プラス8% となり、世界的に非難をされています。温暖化対策は待ったのきかないところまできており、このままだと温暖化により北極の氷が融け、海水面が上昇、 南太平洋の小さな国「ツバル」が世界で一番最初に無くなるそうです。地球温暖化対策として私達に出来る事は何かを真剣に考え、行動しなくてはなりません。

私たち建設業界に居るものとして何が出来るか。いかに行動しなくてはいけないか。それが家作りの理念です。

  • 永持のする家を建てる
  • 三世代利用できる家を建てる
  • ゴミの出ない工事をする
  • ゴミは分別して、再資源として利用する
  • エネルギーコストのかからない家を建てる

ウレタン吹きつけの建物内部

今時木造住宅において断熱材を使用しないことは考えられませんが、断熱材を住宅に入れることが標準になったのは、この40年ぐらいの事です。家を建てるという事はガンジガラメの法律の規制により縛られています。今までにも書いてきましたように、金物から釘に至るまで法律で規制されています。しかし、断熱材に関しては建築基準法では何の規制もありません。断熱工事をまったく行わなくても、法律違反にならないのです。

階段の手摺の設置や室内空気の換気が法律で規制されても断熱材に関する規制は無いのです。現在断熱材に関する規制があるのは「住宅金融公庫」と「性能表示」の仕様で施工する場合のみです。その為に「公庫」(今ですとフラット35)を利用するか、「性能表示」を利用する以外には断熱材の厚さ・仕様などに関する決まりは有りません。

とは言っても断熱材の施工基準は住宅金融公庫の規定を採用している会社が一般的です。では「住宅金融公庫共通仕様書」ではどのように定められているのでしょう。日本全国を大きく6の地域に分けています。

地域 Ⅰ は北海道
地域 Ⅱ は青森県・岩手県・秋田県
地域 Ⅲ は宮城県・山形県・福島県・栃木県・新潟県・長野県

この山梨県は 地域 Ⅳ になり、関東地方や中国四国・九州の一部と同じ地域に分類されています。かなり暖かい地域です。しかし、避暑地である大泉周辺地域はどうかと言いますと
地域 Ⅱ 旧 小淵沢町・富士見など
地域 Ⅲ 旧 大泉村・旧 白州町・旧 武川村など
この地域は東北の地域と同じ気候とされています。だからこそ避暑地になります。
上記の地域に合わせた断熱材の種類と厚さを選定しなくてはなりません。

では断熱材にはどのような種類があるのか

断熱材の種類

などが有りますが、最近ではもっと種類が増えているようです。様々な種類の断熱材を、入れる箇所や、施工の時期に応じて選択します。また、工法によっても変わってきます。

もともと断熱性能は断熱材の種類によって異なりますが、使用する箇所によって断熱材の厚さが異なりますので、種類と厚さの選択は重要な事です。では、最近話題になっている「外断熱」と「内断熱」とでは、どう違うのでしょうか?

建物を基礎も含めてひとつの箱と考えた場合に、箱の外に断熱材を張ったものが「外断熱」で、箱の内側に断熱材を張ったのが「内断熱」と呼ばれています。

外断熱の長所としては、基礎から外壁・屋根の外面に断熱材を張っていく為に、内断熱に比べて施工上の凸凹が無く施工性が高く断熱材未施工の発見がし易い点があげられます。反面、柱の外に断熱材や仕上げ材を張り重ねていく工法である為に、地震に対応した施工が難しいという短所もあります。

もう少し詳しく説明すると、柱面から仕上げまでの厚みが下記のようになります。

構造用合板 12mm
構造用合板 40mm (断熱材によって異なります)
構造用合板 20mm
構造用合板 15mm
合計    87mm

上記の合計の厚みのとおり、87mmも外壁の仕上げが外にふけていくために、窓などのサッシの取り付けが外に取り付き、サッシの荷重が柱の外に掛かります。 その為にサッシの取り付け方法が課題となり、取り付け方が甘いと地震の際にサッシが外れて落ちる事もあります。また、基礎断熱が基礎の外面に張り付けて土の中まで断熱材を張り下げる為に、白蟻が断熱材に沿って上がって来て建物に取り付いてしまう危険性もあります。実は白蟻はボード状の断熱材が大好きなのです。

内断熱の特徴は外部を仕上げてから室内側より断熱材の施工をする為に、天候による影響が少なく作業性が安定しています。また、グラスウールの様なフエルト状の断熱材はコストも安く高い断熱性能が得られます。しかし、実際の施工では柱・梁・筋交い・コンセント・設備配管などが壁の中に多数あり、隙間無く施工することが大変困難です。
また、フエルト状断熱材の場合は袋に入っているものを柱の間に袋部をタッカー(ホッチキスのようなもの) で留め付けるのですが、重量により中の断熱材が垂れ下がり梁との間に断熱材が入っていない状態がよく見かけます。 いわゆる断熱切れです。内断熱の場合は断熱切れ対策が最大の課題です。

内断熱の欠点を補い高断熱を確保する工法が現場発泡断熱材です。この工法はサッシの取り付け後、筋交いなどの施工が完了してから専門業者により施工するために、断熱切れが発生しませんし現場ではゴミも発生しません。

しかし使用する発泡材に注意しませんと、オゾン層の破壊やCO2の増加の心配もあり、又将来構造物の解体の時に不部と断熱材をきれいに分離して再利用可能な状態に出来るかといった課題もあります。 どのような断熱材を使用しても法律には違反しませんし、きちんとした施工を行えば問題はありません。しかし、どのような断熱材がどのように施工されているか?また、断熱性能は確保できているのか?など、なかなか素人には難しい組み合わせです。壁の中に厚い断熱材を入れることを売りにしている会社も有りますが、ただ断熱材を多く入れれば良い物では有りません。

高い断熱化は高気密化とペアで考えるべきもので、高断熱による弊害については次回説明します。どんな事でもそうですが、ただ入れれば良いというものでは有りません。お宅の断熱材は何を使用していますか?




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